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03-5224-3801

不動産業者の責任(仲介業者ってどんなことに気をつければいいの?)

 

 第一部:不動産業者の義務

 

・重要事項説明、改正予定

・その他の義務

・事例形式での検討

 

 

仲介契約の法的性質

 

・仲介契約は、依頼者が不動産の売買の仲介という事実行為を仲介業者に委託し、仲介業者がこれを受託する契約であり、準委任契約である(最高裁判S44.6.26)善管注意義務

・当事者本人から契約締結に関する権限が与えられていない。

・当事者の契約成立に向けて尽力するもの。

代理の法的性質

 

・代理とは

①代理人が本人から、相手方との契約締結等について代理権を授与され(代理権の授与行為)

②代理人が本人のためにすることを示して(顕名)

③相手方に対して意思表示を行って売買契約等の法律行為を行い(代理行為)

④その法律効果が本人に帰属すること(本人への法律効果の帰属)をいう。

 

・代理の場合、双方代理は禁止されている(民法第108条)

 

 

取引態様の明示(仲介、代理等)

 

・宅建業法第34条

・表示規約第8条、規則第4条の別表

※規則第2条に定める表示媒体についての明示義務

・表示規約第15条、規則第10条

※取引態様の表示をする際についての明示義務

・ただし、宅建業者としての義務に変わりはない。

 

 

重要事項説明(1)

 

・宅建業法第35条1項

(重要事項の説明等)

第三十五条  宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

 

 

重要事項説明(2)

 

・ 一  当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)

・ 二  都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

・ 三  当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項

・ 四  飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)

・ 五  当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項

 

 

重要事項説明(3)

 

・ 六  当該建物が建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの

・ 七  代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的

・ 八  契約の解除に関する事項

・ 九  損害賠償額の予定又は違約金に関する事項

・ 十  第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要

 

 

重要事項説明(4)

 

・ 十一  支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。以下同じ。)を受領しようとする場合において、第六十四条の三第二項の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

・ 十二  代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置

・ 十三  当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要

・ 十四  その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項 事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合 国土交通省令・内閣府令

  ロ イに規定する事項以外の事項を定める場合 国土交通省令

—

 

重要事項説明(5)

 

・宅建業法35条の説明事項は、例示列挙。その他の説明義務が肯定される可能性あり。

宅建業者は、購入検討者・賃借検討者に対し、購入・賃借するか否か、ないし、売買代金・賃料をいくらにするか等の決定に重大な影響を及ぼす事項について依頼者に説明をしなければならない(大阪高判H16.12.2、東京高判H13.12.26)。

 

 

説明義務の限界

 

・仲介業者は、買主等の契約締結における判断に影響を及ぼすことが予想される事項を説明すべき義務を負う。しかし、他方で、物的な専門性のある事項についてまで調査能力を備えているわけではない。したがって、物的な性状については、通常の注意をもって現状を確認し、その状態を説明すれば足りるのであり、仲介業者に対し、取引不動産の隠れた瑕疵に関する専門家的調査や鑑定能力まで要求することはできない(大阪高判H7.11.21、東京地判H20.5.20、大阪地判S43.6.3)。

 

 

認識・認識の可能性

 

・責任の前提として、説明事項の認識あるいは認識可能性が必要であり(東京地判H20.5.20)、説明事項を認識していなかったり、あるいは、説明事項の認識可能性がなかったときには説明義務違反の責任を負わない

 

 

主な調査事項(1)

 

・ 本人確認・権限

本人確認、処分権限、代理権限、登記記録

賃貸人の属性、賃借人の属性

※犯罪収益移転防止法の「特定業者」

 

 

主な調査事項(2)

 

・ 建物

躯体、雨漏、生物、不等沈下による建物不具合、設備、法令上の制限(都市計画法、建築基準法)、その他の説明事項(契約の目的、自殺、周辺環境、管理費滞納、敷金の有無、外国人)

 

 

主な調査事項(3)

 

・ 土地

地盤・がけ・傾斜地、境界・通行等、法令上の制限(都市計画法、建築基準法、接道条件、宅地造成等規制法等)、その他の説明事項(環境、水害歴、取引相場の調査、税金の調査、土地の性状)

 

 

第三者に対する注意義務

 

・ 第三者に対する一般的な注意義務

 

・ 「業者の介入に信頼して取引をなすに至った第三者一般に対しても、信義誠実を旨とし、権利者の真偽ににつき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務がある」(最高裁S36.5.26)

※無限定の責任を負わせたものではない。

※宅建業法第31条1項

 

 

仲介契約の終了

 

・ 契約の成立(目的達成)

※「登記、決済手続等の目的物件の引渡しに係る事務の補助」⇒付随義務

・ 売買契約等が解除された場合

・ 仲介契約の解除

 

 

住宅診断(改正予定)

 

・住宅診断(既存住宅インスペクション)が重要事項説明に加えられる予定。

・既存住宅インスペクション・ガイドライン(国土交通省)

※最低限の項目、目視が中心

※既存住宅インスペクション・ガイドラインの内容がそのまま重要事項説明に加えられるかは未定。

・既に住宅診断を行っている業者もある。

 

 

瑕疵担保責任(民法改正予定)

 

・民法の一部を改正する法律案

※あくまで、現時点では法律案

 

 

相 談(1)

 

・当社(宅建業者)は、今般、中古の商業ビルを媒介する予定でいます。しかし、売主・買主ともに、取引を急いでいるため、時間がなく、重要事項の調査時間が取れません。

そして、売主・買主ともに、重要事項の説明は不要であると言っています。

このような場合、重要事項の説明を省略しても良いでしょうか。

 

 

回 答(1)

 

・売主及び買主ともに、重要事項の説明が不要と言っているため、重要事項の説明がなかったとしても、民事上、仲介業者の責任を問うことはできないと考えられます。

しかしながら、宅建業法上、同法35条の重要事項説明は省略することができないため、重要事項の説明を省略した場合には、宅建業法違反となります。

 

 

相 談(2)

 

・今般、当社(宅建業者)の従業員が、取引相手に対し、当社の保有する不動産と取引相手の保有する不動産との交換を申し出ました。取引相手としては、不動産の交換によって、税金が課せられるのが心配だと言っていたようです。

そして、当社の社員が自分の知識で、取引相手に対して、税金がかからない旨伝えたところ、交換取引が実現しました。

しかし、その後、税務署が取引相手に課税をしたため、取引相手が、当社に対して、税金相当額の損害賠償請求をしてきました。

この場合、当社は、損害賠償に応じなければならないのでしょうか。

 

 

回 答(2)

 

・損害賠償をしなければならない可能性があります(東京地判S49.12.6)

「租税の賦課等につき格段の注意を払い、もって取引の相手方に取引上の過誤による附則の損害を生ぜしめないように配慮すべき業務上の一般的注意義務があり」

「事前に当該交換について所得税法上の特例が適用されるか否かにつき特段の調査・配慮を払わず、もっぱら同人らの独自の見解によって、本件土地交換によって原告には税金が賦課されることがない旨言明」

 

 

相 談(3)

 

・当社(宅建業者)は、ある土地建物(所有者A)の売買契約の仲介をしました。当該土地は、隣地所有者Bとの間で境界についての争いがありましたので、Bの代理人と名乗るC、買主X(宅建業者)及び当社従業員が立会の下、境界標を打ち、その後、売買契約・決済をしました。

しかし、その後、Cは、Bから代理権を授与されておらず、したがって、境界標を打つ代理権も授与されていませんでした。

当社は、現在、買主Xから損害賠償請求をされています。当社が悪いのは分かっていますが、買主Xも宅建業者だったのですから、ある程度の調査をすべきではないでしょうか。損害の全額を支払わなければならないのでしょうか。

 

 

回 答(3)

 

・過失相殺の可能性があります(大阪高裁判S61.11.18)。

「本件土地建物の買主たる控訴人自身も不動産仲介業者として不動産売買につき専門的知識と経験を有するものであり、自らも売主代理人○○や被控訴人の持参した私道通行承諾書や境界の説明を過信することなく、西側隣地所有者の××や近隣者に問い合わせるなどその真偽を確認すれば前示偽造や境界紛争が予め判明し、たやすく損害を回避し得たことが認められ、控訴人には前示損害の発生につき過失があるものというべきである。」

ちなみに、4割の過失相殺。

 

 

相 談(4)

 

・当社(宅建業者)は、リフォームをした中古建物の売買の仲介をしました。買主と一緒に中古建物の内部を確認した際には、買主も当社の従業員も全く気付きませんでしたが、当該中古建物の引渡し後、当該中古建物が南から北に向けて傾いていることが分かりました。そして、その原因は、底地の地盤沈下でした。

今回、買主が売主に対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が、当社に対して説明義務違反に基づく損害賠償請求がなされました。

このような場合でも、当社が責任を負わなくてはならないのですか。

 

 

回 答(4)

 

・建物の傾斜が隠れた瑕疵と評価される場合、責任を負わない可能性が高いと考えられます(千葉地松戸支判H6.8.25)。

「不動産仲介業たるZは、その業務の性質に照らし、取引当事者の同一性や代理権の有無、目的物件の権利関係、殊に法律上の規制や制限の有無等の調査については、高度の注意義務を要求されるが、目的物件の物的状況に隠れた瑕疵があるか否かの調査についてまでは、高度な注意義務を負うものではない。」

 

 

相 談(5)

 

・当社(宅建業者)は、RC構造のマンションの売買の媒介をしました。当該マンションには、一部木造部分がりましたので、当社の従業員は、重要事項の説明の際に、一部木造の部分がある点や違法建築の可能性が高いことについての重要事項の説明をしました。

その後、買主が調べたところ、本来、建築基準法第27条所定の耐火建築物の要請を満たしていないことが分かりました。

そして、買主から、耐火建築物の要請を満たしていないことの説明がなかったことを理由に損害賠償請求をされています。

当社は、損害賠償をしなければならないのでしょうか。

 

回 答(5)

 

・RC構造のマンションの一部に木造部分がある旨及び違法建築である可能性が高い旨、重要事項説明の際に説明をしており、同説明により、重要事項の説明義務を果たしていると考えられます(横浜地判H9.5.26)。

「本件売買は、マンションの売買であり、土地付一戸建てての売買とは異なって、違法建築か否か等、売買対象物である建物自体の性状如何が売買取引における最重要事項の一つであることは明らかであり、したがって、宅建業者としては、当該建物が建築基準法27条所定の耐火建築物の要請を満たしているか否かについての調査義務まではないにしても、少なくとも違法建築の存することが判明している限り、仲介依頼主である買主に対し、重要事項説明において違法建築の存することを告知するのが当然である。」

 

 

相 談(6)

 

・当社(宅建業者)は、市内に散在している物件を売却することを考えており、何社かの宅建業者に販売代理を委託したいと考えています。

そこで、一般媒介契約の契約約款と同内容の条件で販売代理を締結することができますか。

また、宅建業法34条の3(代理契約の際の書面の交付義務等)は、宅建業者間の代理契約の際にも適用がありますか。

 

 

回 答(6)

 

・法的には、複数の宅建業者との間で、同一物件に係る販売代理契約を締結することは可能です。しかしながら、売買契約の締結の順位等が問題となりますので、その点をきちんと整理しておいた方が良いと思います。

また、宅建業法第78条が、同法第34条の2の適用除外を定めてませんので、同法第34条の2は、宅建業者間の販売代理契約にも適用があります。

 

 

相 談(7)

 

・当社(宅建業者)は、A社との間で、A社の新築マンション(100戸)に関する販売代理契約(専任)を締結しました。

販売代理契約の期間は、1年間とし、当初3か月間で50戸を販売し、次の3か月間で30戸を販売しました。しかし、残りの20戸は、高額物件や条件の良くないものが多いため、販売代理契約を解除したいと考えています。

そこで、販売代理契約を解除できるでしょうか。

また、売却した分の販売代理の報酬はもらえるでしょうか。

 

 

回 答(7)

 

・前提として、有効期間が3か月を超える専任代理契約は、その3か月を超える部分は無効となります(宅建業法第34条の2第3項・同法第34条の3)。

本件では、既に契約から6か月が経過していますので、契約締結から3か月を経過した以降の販売代理契約は無効になっています。

しかし、3か月以降に販売した分のマンションの販売代理の報酬についても、商人の行為として、商法第512条に基づく請求は可能と考えます。

 

 

仲介業者としてどうすべきか

 

・できる限りの調査、できる限りの報告

・専門家的な調査までは必要ない(線引き)。ただし、依頼者が気にしている部分については、物的な性状についての調査及び報告はすべき。

・契約書や重要事項説明書に調査内容・報告内容を記載する。

・宅建業法、契約書をよく確認。

 

 

第二部:不動産広告編

 

・景品表示法、宅建業法、表示規約

・表示規約の概要

・事例形式での検討

 

 

不動産広告規制の必要性

 

・不動産は、一般消費者にとって大きな買い物

・一般消費者が自主的かつ合理的な選択をする

・不動産業界全体に対する信頼

 

 

不当景品類及び不当表示防止法(1)

 

景品表示法第4条第1項

 

・商品の内容に関する不当表示

・取引条件に関する不当表示

・そのほかの商品、役務の取引に関する事項についての不当表示

 

 

不当景品類及び不当表示防止法(2)

 

景品表示法第2条第4項

 

消費者庁の指定

①商品、容器又は包装による広告その他の表示及びこれらに添付した物による広告その他の表示

②見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告その他の表示(電話によるものを含む。)

③ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自転車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーンその他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告

④新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告

⑤情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

 

 

宅建業法による規制

 

①所在

②規模

③形質

④現在又は将来の利用の制限

⑤現在又は将来の環境

⑥現在又は将来の交通その他の利便

⑦代金、借賃等の対価の額又はその支払方法

⑧代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせん

 

 

景品表示法と公正競争規約

 

・不動産公正取引協議会連合会が、①不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)、②不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約(景品規約)を定めている。

・表示規約及び景品規約は、景品表示法第11条に基づいて、内閣総理大臣及び公正取引委員会の認定を受けたもの(認定を受けなければ、効力が発生しない)

・第一部では、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)の概要に関する説明

 

 

表示規約の目的

 

・表示規約は、不動産取引に関する表示に係る事項として

①広告表示の開始時期の制限

②必要な表示事項

③特定事項等の明示義務

④表示基準

⑤不当表示の禁止等

を定めることにより、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保することを目的としている。

 

 

表示規約の機能(違反)

 

・不動産公正取引協議会が規約違反に対する措置を行う(表示規約第27条~同第27条の3)。

※不動産公正取引協議会の構成員

・宅建業法違反の可能性

・景品表示法違反の可能性(表示規約は、景品表示法の解釈指針)

※不動産公正取引協議会は、消費者庁に措置命令その他の必要な措置を講ずるよう求めることができる。

 

 

いつから広告をしていいのか?(広告時期)

 

・広告表示の開始時期の制限(表示規約第5条)

「宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後」

EX:開発許可、建築確認等

・全ての広告が対象となる。

 

 

許可等の前は一切広告をしてはいけないのか?

 

・建築条件付き土地取引(表示規約第6条)

売建住宅

・自由設計型マンション企画(表示規約第7条)

 

 

どんな広告をしてはだめなのか?

 

・不当表示(表示規約第20条~第23条)

①不当な二重価格表示(表示規約第20条)

②おとり広告(表示規約第21条)

③不当な比較広告(表示規約第22条)

④その他の不当表示(表示規約第23条第1項)

 

・全ての広告が対象

・不作為も対象となる

 

 

不当な二重価格表示

 

・二重価格表示

①過去の販売価格の公表時期及び値下げの行きを明示したもの

②比較対象価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること

③値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る

④土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾート倶楽部会員権を除く。)について行う表示であること

 

・割引表示

一定の条件に適合する取引の相手方に対し、販売価格、賃料等から一定率又は一定額の割引をする場合において、当該条件を明示して、割引率、割引額又は割引後の額を表示する場合。

なお、交渉における割引とは異なる。

 

 

おとり広告

 

・おとり広告の類型

①物件が存在しないため、実際に取引することができない物件に関する表示

②物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物権に関する表示

③物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

 

・おとり広告のガイドライン

 

 

不当な比較広告

 

・不当な比較広告の類型

①実証されていない、又は実証することができない事項を挙げて比較する表示

②一般消費者の物件等の選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するもの及び比較する物件等を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較する表示

③一般消費者に対する具体的な情報ではなく、単に競争事業者又はその物件等を誹謗し又は中傷する表示

 

・比較広告に関する景品表示法上の考え方

 

 

その他の不当表示

 

・表示規約第23条第1項において、第1号から第75号の具体的な規定を設けている。

表示規約第23条第75号は、「前各号に掲げるもののほか」と規定して、包括的な規定となっている。

 

・表示規約第23条第2項において、「前項に掲げるもののほか」と規定して、包括的な規定となっている。

 

 

何を表示しなければならないのか?

 

・必要な表示事項(表示規約第8条)

①規則で定める表示媒体

②規則で定める事項(別表1~別表10)

 

 

表示規約第8条の対象となる表示媒体

 

・規則第2条

①新聞・雑誌広告

新聞又は雑誌に掲載される広告表示を総称し、広告表示の位置、大きさ等によって次のとおり細分する。

ア 新聞記事下広告

イ 住宅専門雑誌記事中広告

ウ その他の新聞・雑誌広告

②新聞折込チラシ等(店頭ビラを除く。)

③パンフレット等

④インターネット広告

 

 

表示規約第8条では何を表示しなければならないのか?

 

・規則第3条 物件の種別ごとに区分

・規則第4条 別表

①分譲宅地        ⑧マンション

②現況有姿分譲地     ⑨貸家

③売地          ⑩新築賃貸アパート

④貸地          ⑪中古賃貸アパート

⑤新築分譲住宅      ⑫小規模団地

⑥新築住宅        ⑬共有制リゾートクラブ会員権

⑦中古住宅

 

 

全部記載するとなると広告ができないのでは?

 

・表示規約第8条の特例

①予告広告(表示規約第9条)

②副次的表示における特例(表示規約第10条)

③シリーズ広告(表示規約第11条)

④必要な表示事項の適用除外(表示規約第12条)

 

 

予告広告(1)

 

・表示規約第9条

・予告広告の趣旨

・予告広告の意義

 

 

予告広告(2)

 

・予告広告の要件

予告広告を行った媒体と同一の媒体を用い、かつ、その予告広告を行った地域と同一又はより広域の地域において、本広告をしなければならない(表示規約第9条第2項)。

 

・予告広告に付加される必要な表示事項及びその表示方法

ア 予告広告である旨(規則第5条第3項第1号)

イ 価格若しくは賃料が未定である旨又は予定最低価格(賃料)、予定最高価格(賃料)及び予定最多価格帯

ウ 販売予定時期又は取引開始予定時期(規則第5条第3項第3号)

エ 本広告を行うまでは、契約又は予約の申込みに一切応じない旨及び申込みの順位の確保に関する措置を講じない旨(規則第5条第3項第4号)

オ 予告広告をする時点において、すべての予定販売区画、予定販売戸数又は予定賃貸戸数を一括して販売(取引)するか、又は数期に分けて販売(取引)するかが確定していない場合は、その旨及び当該予告広告以降に行う本広告において販売区画数、販売戸数又は賃貸戸数を明示する旨(規則ぢ亜5条第3項第5号)

 

 

予告広告(3)

 

・予告広告において、表示を省略できる必要な表示事項の項目

 

 

法律上の制限や物理的な欠陥は表示しなければならない?

 

・特定事項等の明示義務(表示規約第13条)

 

・規則第8条

①市街化調整区域内      ⑨地下鉄線の地上権

②接道            ⑩傾斜地(30%以上)

③条例による附加       ⑪不整形画地・特異な地勢

④敷地延長(30%以上)   ⑫擁壁のないがけ上がけ下

⑤セットバック義務      ⑬計画道路の区域内

⑥古家、廃屋         ⑭建築工事の中断

⑦沼沢地、湿原又は泥炭地等  ⑮建築条件付きの土地

⑧高圧線下                      ⑯国土利用計画法の許可等

 

 

どう表示すればいいのか?

 

・表示規約第15条、規則第10条

①取引態様             ⑧写真・絵図

②物件の所在地           ⑨設備・施設等

③交通の利便性           ⑩生活関連施設

④各種施設までの距離又は所要時間  ⑪価格・賃料

⑤団地の規模            ⑫住宅ローン等

⑥面積               ⑬その他の取引条件

⑦物件の形質

 

・表示規約第16条、表示規約第17条

 

 

どんな文言を使えばいいの?

 

・特定用語の使用基準(表示規約第18条)

・物件の名称の使用基準(表示規約第19条)

 

 

相 談(1)

 

①開発許可や建築確認を受けていない不動産をなんとか広告したいのですが、どうすればいいでしょうか。

 

②マンションを建築するにあたり、セレクトプランを用意したいと考えています。しかし、セレクトプランを用意すると、後々、変更の確認(建築基準法第6条第1項後段)が必要となります。

このような場合、変更の確認なしに、マンション販売の広告をしたいがどうすればいいでしょうか。

 

 

回 答(1)

 

①基本的に広告はできません。ただし、自由設計型マンション企画に関して要件を満たせば、広告をすることができます。なお、建築条件付土地取引における脱法的広告が存在することに注意をしてください。

 

②当初の確認を受けた後、変更の確認の申請を建築主事へ提出している期間、又は提出を予定している場合においては、変更の確認を受ける予定である旨を表示し、かつ、当初の確認の内容も当該広告にあわせて表示すれば、変更の確認の内容を広告しても差し支えありません。なお、いわゆるセレクトプラン(建築確認を受けたプランと建築確認を受けていないプランをあわせてしめす方式)においても、建築確認を受けていないプランについて変更の確認が必要である旨を表示すれば差し支えありません。

また、マンションのスケルトン・インフィル等の場合、「具体的な間取りが定められていない場合、変更の確認を受けることが必要となる場合があります。」との旨を表示すれば差し支えありません。(国土交通省不動産業課)

 

 

相 談(2)

 

①取引しようとする不動産に、法律上の利用の制限や物理的な欠陥がある場合、どのような表示をすればよいでしょうか。

(ア)市街化調整区域

(イ)道路に適法に接していない土地

(ウ)古家がある場合

(エ)計画道路の区域内の土地

 

 

回 答(2)

 

(ア)「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」といった表示を行いましょう。

(イ)土地の取引の場合は「建築不可」、中古住宅等の場合は「再建築不可」といった表示を行いましょう。なお、「不適合接道」、「道路位置指定なし」といった記載では、表示にあたりません。

(ウ)「売地。ただし、古家あり。」、「売地。ただし、廃屋あり」といった表示を行う。「上物あり」では、「上等な物」と誤認するおそれがあるため、表示に当たりません。

(エ)「都市計画道路区域内」、「この土地は土地計画道路にかかっています。」といった表示を行いましょう。

 

 

相 談(3)

 

①当社が販売戸数5戸の新築分譲住宅の販売広告を行ったところ、1戸についての購入申込みを受けました。しかし、この申込者は、キャンセルの可能性が高そうです。そこで、引き続き、販売戸数を5戸とした広告をしたいと考えていますが、問題はありますか。

 

②当社の提携ローンでは、物件価格と同額まで融資を受けることができます。そこで、広告に「自己資金0円で購入可能」との表示をしたいのですが、問題はありますか。

 

 

回 答(3)

 

①キャンセルの可能性があるとしても、結果として成約に至った場合、実際に取引できない物件を広告したことになり、「おとり広告」に該当する可能性が高いので、当該住戸を販売対象戸数から除いて広告する必要があります。

 

②「頭金」と「自己資金」とは異なり、自己資金には、ローン保証料、登記費用その他の契約費用の一切が含まれます。したがって、物件価格全額の融資を受けられるとしても、「自己資金0円で購入可能」というのは、表示規約第23条第1項第56号に違反する不当表示となります。

 

 

相 談(4)

 

①近々、当社の近くで催される花火大会があり、同花火大会は、多くの人手が予想されます。そこで、現時点でまだ開発許可、建築確認等を受けていないマンション計画につき、団扇を配布する形で広告をしようと思いますが、問題はありますか。

 

②当社の販売するマンションから最寄りの地下鉄までの距離を表示したいと考えていますが、どのように表示すればいいでしょうか。ちなみに、マンションの出入り口から地下鉄の出入り口まで直線距離であれば徒歩5分(400m)の距離で、横断歩道をきちんと渡ると徒歩8分(640m)の距離にあります。仮に、マンションの出入り口から改札までになると、直線距離で6分(480m)、横断歩道をきちんと渡ると徒歩9分(720m)になります。

 

 

回 答(4)

 

①団扇での広告には、表示規約第8条の適用はありません。しかしながら、表示規約第5条の適用はありますので、開発許可、建築確認等を受けていない物件の広告は、同条違反となります。

 

②マンションの出入口と地下鉄の出入口を起着点とすることで構いません。また、直線距離ではなく、実際の道路等を経由した徒歩所要時間を表示するようにしてください。

 

 

相 談(5)

 

①現在、中古マンションの広告に掲載する間取り図を作成中です。そのうちの1室につき畳が6枚(6畳)あるものの、畳1枚あたりの広さが1.5㎡です。この場合、6畳をどのように表示すればよいでしょうか。

 

②窓のない、納戸として扱われる空間につき、居室とも納戸とも記載しないで広告することは問題がありますか。

 

 

回 答(5)

 

①表示規約施行規則第10条第16号は、「住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁芯面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いること」と規定しています。

本件での6畳間は、実際には9㎡ですので、5.5畳と表示することになります。

 

②何の記載もない場合、居室と誤認されるおそれがあるため、不当表示に該当します。

 

 

相 談(6)

 

①当社が所有している建売住宅は、平成27年1月1日5000万円で売り出しましたが、買い手がつかず、同年4月1日に4500万円に値下げしました。しかし、それでも買い手がつかなさそうです。そこで、平成27年7月1日までに買い手がつかなかった場合に、次のア又はイの表示をしようと思いますが、問題はありますか。

ア「5000万円(旧価格公表時期/平成27年1月1日)⇒4000万円(平成27年7月1日値下げ)」

イ「5000万円(旧価格公表時期/平成27年1月1日)⇒4500万円(平成27年4月1日値下げ)⇒4000万円(平成27年7月1日値下げ)」

 

 

回 答(6)

 

①結論としては、ア及びイはともに不当な二重価格表示に該当し、表示規約第20条に違反します。

規則第13条は、過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示のうち、表示規約第20条に違反しない表示の要件を定めていますが、アの場合の5000万円という価格は、比較対象価格として表示できる過去の販売価格に該当しません。つまり、ここでいう「過去の販売価格」とは、「値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表された価格」(規則第13条本文)をいいますが、アの場合の5000万円という価格は、再値下げをする平成27年7月1日の3か月前にすでに実際に販売していた価格ではなくなっているからです。

次に、イの場合もアと同様、販売当初の価格(5000万円)は規則第13条に規定する「過去の販売価格」に該当しません。ですので、この価格を比較対象価格とすることはできません。

 

 

相 談(7)

 

①当社は、ある企業の社宅(築20年)を買い取り、建物の内外装とも大規模に「リノベーション」しました。

そして、この度、分譲マンションとして販売しようと考えています。本マンションは、過去に一般消費者に販売されたことはありませんので、「新発売」と表示して広告しようと思いますが、問題はありますか。

 

 

回 答(7)

 

①表示規約第8条第1項第2号は、「新発売」につき、「新たに造成された宅地又は新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。」と規定しています。

本件では、建築後20年の中古の住宅ですので、「新発売」との表示はできません。

 

以上

 

 

 

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