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調剤薬局でよくあるクレーム②~調剤過誤~

2022年12月23日

第2回は、調剤過誤について話をしていきたいと思います。

 

「調剤過誤」 間違ってお薬を渡してしまったら~

 

前回は薬の不足に関してのお話でしたが、今回は誤った薬を渡してしまった場合についてです。

 

処方箋とは異なる調剤を行った場合や処方箋通りに調剤をしても例えばアレルギーの見落しや、相互作用、重複投与等を見落として、薬を渡してしまうなど、これらは調剤過誤と言われます。

過誤を防止する方法は、各薬局様々な工夫を凝らしてられるかと思いますので、今回はそれらに関しては触れません。

今回は薬を間違って渡してしまった後の話に焦点を絞ることとします。

 

 

調剤過誤の段階

 

調剤過誤にも段階があります。

ご承知のとおり、①渡しただけで服用していない。②服用したが、健康被害が生じなかった③健康被害が生じた場合とレベルを分けることができます。

基本方針としては、とにかく健康被害(損害)を抑えることがなにより重要です。それを前提として各ケースについて説明します。

 

健康被害を抑えるための基本方針

 

💊①薬は渡したが患者さんが服用していない場合

 

薬を誤って渡したことに気が付いたら、すぐに患者さんに連絡をして下さい。少しでもその可能性があると感じた場合も同様です。患者さんに薬を確認してもらいましょう。誤っていることが確認できたら、すぐに渡した薬を回収し、正しい薬を渡しましょう。

患者さんへの謝罪の態度も重要です。服用前と言っても、一歩間違えれば健康被害に該当する可能性もあった訳ですから、真摯に謝罪することが重要です。謝罪に応じてもらえず、仮に患者さんが様々請求してきたとしても、この段階ですと特に損害は発生していないため、法律上の請求は難しいと考えられます。なお、謝罪したにもかかわらず、請求が続いたり、その方法が悪質で合った場合は、警察や弁護士に相談すると良いでしょう。

 

💊②服用をしたが、健康被害が生じなかった場合

 

投薬後、数日経っていれば患者さんは服用をしているものと考えられますが、この場合でも過誤に気が付いた段階で患者さんに連絡をすることは同様です。連絡をして、症状に関する訴えがなかったとしても、処方医に連絡することも忘れずにしましょう。薬局では把握していない患者さんの情報をご存知だったり、服用により治療方針が変更になることも考えられます。

また、服用してしまった訳ですから、患者さんには真摯に謝罪をすると共に、服用してしまった薬の説明もすることが必要です。説明をきちんとすることも謝罪の一環です。そして、この場合も幸い損害は発生していないため、

 

💊③服用をして、健康被害等が生じてしまった場合

 

患者さんが服用して、健康被害が生じてしまった場合、この場合は薬局から連絡というよりは、患者さんや処方医、場合によっては搬送された病院等から薬局に連絡があることが大半かと思われます。

この場合、何よりも落ち着くことが重要です。その上で、まずは事実確認を行い、本当に薬を間違って渡したのかということの確認も行いましょう。間違いがないことが判明したら、患者さんの状態はもちろんのこと、誰がどのように関わっているのか等情報の整理をすることが必要です。処方医に連絡をしていないのであれば、連絡することが必要となりますし、近親者への連絡が必要であればするようにしましょう。

 

場合によっては弁護士へ相談も検討を

 

健康被害が発生してしまった場合、賠償責任を負います。状況にもよりますが、安易に患者さんからの請求には応じないようにはしましょう。間違えたという負い目はあるでしょうが、安易な対応は余計に問題を複雑にします。薬剤師賠償責任保険等の保険に加入しているのであれば、まずその窓口に問い合わせてください。そのような保険に入られていないのであれば、直接のやりとりとなりますが、損害の考え方は複雑ですので、場合によっては弁護士等に相談することも検討しましょう。

 

 

以上調剤過誤を起こしてしまった場合の対応方法について見てきました。上記は対患者さんに対する対応ですが、健康被害が生じた場合、保健所への報告も求められる場合があります。また、再発防止策を検討や過誤を起こしてしまった従業員のケアがもちろん必要となります。

 

最後に、調剤過誤を起こしたいと思って起こす人はいません。一方で、自分のミスを申告することは勇気が必要です。そのため、過誤を起こしてしまっても、速やかに報告ができる薬局内での環境創りも必要となります。過誤の予防策だけではなく、そのような雰囲気づくりも心掛けるようにしましょう。

 

 

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