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1同一労働同一賃金とは
これまで、期間の定めがない労働者(いわゆる正社員)と、期間を定めて雇用した労働者(いわゆる非正規社員)の間には、労働条件に格差がありました。正規社員と非正規社員の労働条件の格差を是正するために、同一労働同一賃金に関する規定がなされました(労働契約法20条)。
同一労働同一賃金の規定では、非正規社員について、期間の定めがあることを理由として不合理な扱いをすることが禁止されています。
2同一労働同一賃金に反した場合のリスク
同一労働同一賃金の規定に反しているとされた場合には、不合理な取り扱いをしたことについて、非正規社員から損害賠償請求を受けることになります。
具体的には、正規社員にはボーナスを支給し、非正規社員にはボーナスを支給していない会社において、非正規社員にボーナスを支給しないことが不合理な取り扱いとされると、その非正規社員が受け取ることができなかったボーナスの総額を損害として賠償しなくてはならなくなります。
3同一労働同一賃金に違反するかどうかの判断基準
同一労働同一賃金については、最高裁判所が、令和2年10月に3つの事件について判断をしています。3つの事件では、それぞれ争われた賃金の内容に違いがあります。①大阪医科薬科大学事件では賞与が、②メトロコマース事件では退職金が、③日本郵便事件では各種手当が争いの対象となりました。
結論としては、①と②の事件では正規社員と非正規社員の待遇の違いは不合理とはいえず、同一労働同一賃金には反しないとされましたが、③の事件では、待遇の違いは不合理であるとの判断がされました。
上記の判断をするに際して、最高裁判所は、問題となっている賃金の名目ではなくその実質に着目をし、どのような目的で、どのような労務に対して支払われているのかを検討したうえで、正規社員と非正規社員で違いを持たせることが合理的であると言えるかという点を重視しています。
また、非正規社員から正規社員への登用の有無もポイントの一つとされています。非正規社員が希望し、一定の条件を満たせば正規社員になれる仕組みが整備されている場合には、正規社員と非正規社員との間に待遇の違いがあったとしても、従業員の意思によって待遇の差をなくすことができるという点が評価のポイントであると考えられます。
このように同一労働同一賃金に反するか否かは、形式的に判断をすることはできませんので、待遇の違いが適法かどうかについて疑問を持った場合には、弁護士へのご相談をお勧めします。
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