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不動産投資や遊休地の活用のために、アパート経営というのを考えている方も多くいらっしゃると思います。アパート経営における最大のリスクは「空室」による収入の低下ですが、その空室リスクに備えるための「家賃保証」は、大変魅力的にみえます。しかし、この「家賃保証」のためのサブリース契約にも、色々と気を付ける点があります。トラブルに巻き込まれないために、サブリース契約を締結する際の注意点を確認しておきましょう。
サブリース契約とは
サブリース契約とは、アパートをサブリース会社(不動産管理会社など)に満室家賃の80~90%程度で借り上げてもらうことで、たとえ入居者がいなくても毎月一定額の家賃をサブリース会社から払ってもらえる契約のことです。
サブリース契約は、実際の入居率に関わらず毎月一定額の家賃収入が見込めるため、安定的に家賃収入を得ることができます。また、アパートの賃貸管理業務もサブリース会社に委託しているため、入居者トラブルへの対応といった面倒な賃貸経営をする必要もありません。
しかし、サブリース契約も、いいことばかりではありません。次に、サブリース契約でのトラブルについてみていきましょう。
サブリース契約でのトラブルとは?
サブリース契約の代表的なトラブルは、やはり賃料に関するものです。サブリース契約でも、ずっと同じ金額の賃料が保証されるわけではありません。概ね2年ごとに見直しがなされる例が多いですが、途中でサブリース会社から賃料の減額請求をされることもあります。サブリース会社からの賃料の減額請求は、借地借家法32条1項で認められているので、「賃料の減額請求を一切認めない」という契約をしたとしても、その契約内容は同項に反して無効になってしまいます。営業の方の言うことを安易に鵜呑みにしていると、利益を出すどころか、初期費用が回収できず経営難に陥ってしまうこともあり得ます。それなので、アパートの周辺家賃の相場や立地、ローンの金利、賃料の保証期間などをしっかり自分で検討して、採算がとれるかを判断するようにしましょう。
また、サブリースを解約するときにもトラブルが生じがちです。というのも、サブリース契約の場合、オーナーが貸主、サブリース業者が借主という関係にあります。そして、通常は弱い立場にある借主は、借地借家法によって強く保護されているため、合意解約ではなく、オーナーから一方的に解約するというのはとても難しいのです。すなわち、単に「採算がとれない」という理由での解約は認められず、オーナーとサブリース業者の間の信頼関係を破壊させるような特段の事情が必要ということになります。そのため、契約書の解約に関する条項について、解約の予告期間が長すぎないか、違約金が異常に高額でないかをチェックし、解除が極めて困難な契約になっていないか確認する必要があるでしょう。
以上のように、家賃保証があるからといって、安易にサブリース契約を締結してしまうことは大変危険です。契約書の条項をよく読み、迷ったら、弁護士などの専門家に相談してみましょう。
不動産取引及び不動産問題に関する基礎知識
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