残業代の未払い問題
経営が厳しい状況であっても、従業員に対してサービス残業を強要することはできません。未払いが発覚すると、労働基準監督署から「是正勧告」がなされます。この「是正勧告」に従わず是正しなければ、書類送検となり、罰せられる可能性があります。
是正勧告とは?
「是正勧告」は労働基準監督署による警告です。会社経営者が従業員を雇用する際に守るべき「労働基準法」に違反した場合、「是正勧告書」という警告書が出されます。罰則には「6ヶ月以下の懲役」や「30万円以下の罰金」などがあります。
行政指導には強制力がないため「是正勧告」に従わなくてもよいように思えますが、実際には「労働基準法」に基づくペナルティーがあるため、是正しなければ書類送検となる可能性があります。「是正勧告」に至る調査のきっかけは、多くの場合、従業員(元従業員を含む)からの申告です。そのため、労基署の調査は会社の労働時間管理の実態を踏まえて行われます。
労働基準監督署への対応
労基署が調査に入り、様々な資料を入手した後では、使用者が対抗する手段はほとんどありません。しかし、提出した資料には現れない事情もあるかもしれません。例えば、パソコンのログ時間だけでは実際の労働時間を正確に把握できない場合や、タイムカードの打刻時刻が実際の勤務終了時刻と異なる場合などです。
このような事情がある場合、労基署に説明することも可能です。ただし、専門的な対応が必要なため、まずは弁護士にご相談ください。
なお、労働基準法では残業代請求を含む賃金債権は2年で時効を迎えます。2年より前の債権の請求をされた場合には、速やかに時効を主張することが重要です。