破産手続きというと、「悪いイメージ」をお持ちの方も多いのではないでしょうか?破産法は国から与えられた経済的救済措置です。破産手続きは会社を経営し、借金をして、さらに社会に貢献していこうという意欲的な方が復帰するためのチャンスでもあります。早い段階で弁護士にご相談することをお勧めします。ここでは、「破産手続き」について、ご説明していきます。
破産手続き
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、事業の継続が難しくなった店舗や企業が増加してきています。2020年12月8日に帝国データバンクが発表した「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)は、全国に776件判明しました。
- 法的整理689件(破産655件、民事再生法30件、特別清算4件)、事業停止87件
- 業種別上位は「飲食店」(121件)、「ホテル・旅館」(70件)、「建設・工事業」(54件)、「アパレル・雑貨小売店」(50件)、「食品卸」(40件)、「アパレル卸」(28件)などとなっています。
日本の倒産処理手続きは、債務者の資産を処分して、これを債権者に平等に分配することを目的とする清算型の手続きと、債務者の事業を再建し、再建された事業から生じる収入・収益を債権者への弁済の原資とする再建型の手続きの2つに大別されます。前者の清算型手続きの中核が「破産」手続きであり、法人の場合は、解散して、法人格を喪失することになりますから、倒産手続きの最終手段といえます。
破産手続きの概要は次の通りです。
①廃業・従業員の解雇
破産手続きを申立てる前に、まずは、事業を廃止し、従業員については解雇を行います。従業員の解雇に伴う問題については、別の記事をご参照ください。
②受任通知の発送
代理人弁護士から、債権者に対して、会社が破産申立てを予定していること、今後の連絡窓口が代理人弁護士となることを通知します。
③破産申立て
管轄の裁判所に破産手続きを申立てます。法人の場合、その運転資金等の借入れについて、法人の代表者個人が保証人となっていることが多いため、法人の破産申立てと同時に代表者個人の破産申立てをするケースが多くなります。
④破産手続開始決定
裁判所で正式に破産手続きが開始するための原則的な要件は、債務者の「支払不能」です。「支払不能」とは、債務者がその債務のうち弁済期にあるものについて、支払い能力がないために、一般的かつ継続的に弁済できない状態を指します。なお、「支払不能」の判断が困難な場合があることから、「支払停止」があれば「支払不能」が推定されます(破産法15条2項)。また、法人破産の場合は、「債務超過」すなわち、その債務についてその財産をもって完済することができない状態となっていることも破産手続きの開始原因となります。
⑤破産管財人の選任
破産手続開始決定と同時に、裁判所によって破産管財人が選任されます。破産管財人は、手続きを実質的に主導する立場にあり、破産手続きの中核的な役割を担います。
⑥債権者集会
破産手続開始決定後、破産管財人によって資産の回収等が進むと、債権者集会が行われます。債権者集会は形骸化していることが多く、実際に債権者が出席するケースは稀であり、簡易な事件では1回のみで終わりますが、複数回開催される事件もあります。
⑦破産手続きの終了
破産管財人の調査や資産回収等により、債権者への配当を実施できることになった場合には配当が行われ、破産手続きは終結します。配当ができないと判断された場合は、破産手続きは廃止されます。このような破産手続きの終了により、会社は消滅します。
破産を検討しているけれど、どのように手続きが進むのか不安という方は、ぜひ、一度当事務所までご相談ください。