しばしば、以下のようなご相談を受けます。
「従業員から突然サービス残業代を請求されてしまった」
「労働基準監督署から是正勧告書が届いてしまった」
残業代や未払賃金の問題は、金額的にも大きく、会社の社会的信用にも大きな影響を与える紛争に発展する可能性のある重要な問題の一つです。
労働者から残業代等を請求された場合、労働者は既に入念な検討を行っている場合が多いです。他方、会社側は寝耳に水であることが多いでしょうから、事実関係や裁判実務を把握していない点や、交渉戦略を協議できていないなどの点で、不利な状況から始まる案件が多いです。
会社側は、従業員に給与を支払う義務を有することは勿論、従業員の労労働時間を適切に管理する責務も有しています(平成29年1月20日、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン参照)。
それにもかかわらず、会社が従業員の勤怠管理を怠り、または従業員に対して適切な賃金を支払わずに残業させていることが発覚すると、労働基準監督署(以下、「労基署」といいます。)から是正勧告を受けることになります。
是正勧告書を提示された場合、会社は命じられた期間内に違法状態を改善し、是正(改善)報告書を作成しなければならなくなります(また、本当に改善しているかを調査士に来る可能性が高いです。)。他方、勧告に従わず違法状態を放置した場合、労働基準監督官は、違法状態及び会社の対応等を示した書類を作成し、検察庁に送致します(俗にいう書類送検です。)。すると、最悪の場合、会社の役員が逮捕され、刑事事件に発展するおそれもあります。
労働問題は刑事事件とは関係ない、警察は民事不介入ではないのかと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、厚生労働省労働基準局監督課が作成している労働基準関係法令違反にかかる公表事案(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf)をみると、全国的にみれば相当数の案件が送検されていることが分かります
さて、従業員から何らかの請求があった場合に大切なことは、従業員の請求を無視しないということです。請求を無視してしまうことで、労働審判を申立てられたり、労基署に通報されてしまうからです。
しかし、従業員の主張や労基署からの勧告について全面的に受け入れる必要はありません。事実関係・証拠関係を整理し、然るべき対応をすべきです。相手方の要求には、不当な要求が含まれている場合も多いので、どこまでの請求を甘受しなければならないのか、専門家と相談しながら方針を立てることをお勧めします。
弁護士に依頼することで、従業員側からの残業代請求等に対して、会社側の代理人として交渉させることができます。当事務所では、訴えを起こされた後の交渉はもちろんのこと、紛争を未然に防ぐための就業規則の整備や職場環境の改善に関して、法的な見地から適切なアドバイスをしております。
会社経営の観点からは仕方がないのですが、多くの中小企業では労働環境が十分に整備されているとはいい難い状況です。弁護士が入ることで、経営者を代理して労働環境の整備し、紛争を未然に防ぎます。まずは小さなお悩みでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
労務問題に関する基礎知識
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